HOME | コンテンツ | フィンテック | お金をもっと普通にできない?ブロックチェーンと貨幣経済について思うこと

 フィンテック  2017.04.21

お金をもっと普通にできない?ブロックチェーンと貨幣経済について思うこと

 
 わたしたち金融デザインチームは“普通に”がキーワードです。普通ってなんだ?と改めて自分に問うてみると、そもそも貨幣経済ってなんだ、ということについて考えることが多くなりました。思ったことをちょっとまとめておうこうと思います。

20年間FP業をやってきて・・・

 お金をためる目的は?ふやす目的は?そんなところからファイナンシャルプランニングがはじまります。どうやったら上手に保険に加入することができるのか?お金管理のhow toは?そんなところからマネーコンテンツの制作がはじまります。
 
 FP業の個別相談、セミナーによる情報提供、ウェブや書籍等による情報提供の目的は、お客様のお金に関する問題点を解決して不安をなくし将来に向かって経済的な基盤づくりをお手伝いすることです。
 
 私はこれまで個別の相談やセミナー、マネーコンテンツ制作のあらゆるシーンでお金に対する問題や不安をみてきました。今思うことは「お金というものがなかったらそんな問題や不安はなくなるのだろうなあ」ということです。
 

お金の基本的な役割はどこへ

 お金は、モノと交換する(価値の交換)、価値の高低を測る(価値尺度)、将来のために価値を保存しておく(価値の保存)という目的のために考え出された“手段”です。ところが市場経済の発展により、モノの価値が上がり、お金を貯めているだけでは追いつかず“殖やす”ことが必要になりました。また、部分準備制が発明されると、信用創造がおきて預金通貨というデータになったお金が膨れ上がり、それが市場経済の発達を後押ししました。市場経済の発達は一方で人間の欲の結果でもあり、その欲を満たすために、いつしかお金を得ることが目的となってお金は手段ではなくなりました。
 

不安の源泉はお金

 このようにしてできた貨幣経済は人々に富をもたらす一方で、お金がないことに対する不安を醸成しました。喜びを生む一方で、憎しみや悲しみも同じくらい生み出しています。世の中で起こっている様々な事件や問題の原因を紐解くと、「お金」に起因することが多いことに気づきます。FPに相談来る人の不安は「お金」が原因であることは言うまでもありません。
 

お金をもっと普通にできたなら

 例えば、老後の経済的な不安は、年金があてにならない、退職金が期待できない、さあどうしよう、というものです。相続のトラブルも生命保険の悩みもみな経済的な不安が源泉。現在の世の中はお金がないと生活していけない仕組みだから当然でしょう。貨幣経済がなかったらそんな不安もなくなりそうですが、お金を本来の役割である価値の交換、価値尺度、価値の保存という“普通”の状態にできたら不安も少なくなりそうです。
 
 それを実現するのは、持ち物や持ち味、技術やサービスなどを交換し合うシンプルな経済への回帰です。今、話題のシェアリングエコノミーは昔ながらのご近所さん付合いがモデルで、互いに助け合う生活コミュニティーの再現です。目立っているシェアリングエコノミーはまだまだ本当の意味でのシェアリングではなく、また、どこか中央集権的な側面もありますが、今後もっと研ぎ澄まされていくことが期待できそうです。
 

サトシナカモトは誰?

 貨幣経済と市場経済の発達によってお金は大変複雑なものになってしまいました。そしてお金を殖やさなければ生きていけないといった恐怖を産みました。国も膨らむ借金のツケがいつ爆発するのかと怯えている状態です。
 
 この状態を打破できそうなのが、ブロックチェーンだと感じます。新聞紙面を賑わせはじめた“ブロックチェーン技術”ではなく“オープンなブロックチェーン(+暗号通貨等)”です。
 
 ブロックチェーンの魅力はお金の本来の役割である、価値の交換、価値尺度、価値の保存をP2Pで実現できる(できそうな)ことです。イメージはご近所さんの助け合いをインターネットにより地球規模で行える可能性を秘めた仕組みだと感じています。
 
 ブロックチェーンはまだまだ発展途上ですが、お金の不安から人々を解放する救世主になるかも、と期待を寄せています。未だだれだかわからない、ブロックチェーンの仕組みを提唱した“サトシナカモト”は、資本主義経済の先にある地球人類の行く末を案じている宇宙人かも?
 

 
ライター:石川英彦
HIDEHIKO ISHIKAWA

代表取締役
大学卒業後、就職することなく海外放浪へ。大好きなオートバイで北は「アラスカ・北極海」南は「アリゾナの砂漠」まで、北米を野宿しながら37,000キロ走破。帰国後、老舗ホテルでボーイの仕事し、サービス業とはなんたるかを学ぶ。あるきっかけで保険代理店の手伝いをしたことで金融の世界を知る。その“奇妙”な世界に疑問を感じ「お金に関する情報形成」「売り手と買い手がハッピーになる金融コンテンツづくり」をミッションとした、 株式会社マネーライフナビを設立(1996年)。FP(ファイナンシャルプランナー)の実務をこなしながら多数の金融コンテンツを手がける。2011年には エフピーリサーチアンドコンテンツ株式会社を設立。全国各地のご当地FP®︎による多数の意見を発信。ただいま、「金融を普通にする」ための起爆剤を充填中。 >>プロフィール
 

 

最新記事 new